鉄道ライター・若林健矢が行く!Nゲージ・首都圏レンタルレイアウト探訪記 ~第14景・東京都八王子市「TOKYO N-Train」~ 旧店を受け継ぎさらに発展中!緑あふれる大型レイアウト
本誌で鉄道模型を専門に取材・執筆しているライター・若林健矢が、自身のNゲージ車両と共に各地のレンタルレイアウト店を訪問取材するシリーズ「Nゲージ・首都圏レンタルレイアウト探訪記」! 2026年のゴールデンウィークに5月3、4、5日と3日連続での登場です。 気温も暖かくなりお出かけしやすくなったところで、鉄道模型を持ってレンタルレイアウトに遊びに行ってみませんか?
レンタルレイアウトとは、時間貸しで、ジオラマの線路をユーザーがレンタルし、自身が持ち込んだ鉄道模型をその上で運転して楽しめるお店のことです。自宅では広げられない長さ、車両の多さであっても、レンタルレイアウト店ならめいっぱい鉄道模型運転に浸れます!
第14景の今回は、東京都八王子市の「TOKYO N-Train」を探訪! 過去には「八王子N広場」というレンタルレイアウトがありましたが、惜しまれつつ閉店。クラウドファンディングを経て「TOKYO N-Train」に生まれ変わり、本記事公開時点でオープンから1年が経ったお店です。これからもいろんな変化を予定しているという、新しいレンタルレイアウトを体験してきました。
高尾駅南口のバスロータリー横、中央線・京王線からアクセス抜群
「TOKYO N-Train」は、JR中央線で列車系統が大きく分かれる高尾駅の、南口からすぐ近くにあります。東京・新宿方面からは言わずもがな、山梨県側からも、大月駅などで高尾行きに乗り換え、比較的楽にアクセスできます。まずは京王高尾線の高架下、バスロータリー前まで出ましょう。
すると、大通りに向かって左手のビル「高尾パーツハイツB棟」にサイゼリヤ高尾駅南口店が見え、それと同じ階に「TOKYO N-Train」も入居しています。筆者の足では駅から2分程度だったので、持ち込む車両が多くても比較的楽にお店まで歩けます。
階段を上がって2階、サイゼリヤの入り口のもう少し奥に「TOKYO N-Train」の入口があります。店内に入ると、緑あふれる情景のNゲージレイアウトが目の前に! 密度の高い充実したレイアウトに12本の路線が張り巡らされています。ただし、1・2番線は複線借りのみの提供となります。
他にも、店内奥には中央本線ゆかりのNゲージ車両や、懐かしい鉄道写真なども飾られています。これらは「八王子N広場」時代のものをそのまま引き継いだとのこと。お店の窓から実車の京王線も目の前に見られ、総じて「鉄分」が濃いお店です。
店内入ってすぐ右側には、子ども向けのキッズレーンも用意されています。こちらは20分から利用可能で、予約はなくても大丈夫。小さな子(保護者同伴で入店)はこちらからお楽しみください。見学のみの入店も500円(税込)で可能ですが、レイアウトから離れた位置での見学となり、貸切・イベント時は見学不可です。
「TOKYO N-Train」のメインレーンは完全予約制で、利用は2時間以上となっています。延長は1時間ごとに可能ですが、1時間だけの利用はできないため、仕事や授業がお休みの日に予約を取ってしっかり準備して遊びに来るとより満喫できると思います。
田園風景から商店街へ、国鉄型の列車でレイアウトを楽しむ!
一目見ただけでも情景の充実度がうかがえ、今回もかなり紹介したい要素が多くなりそうです。そのため、持ってきたNゲージ車両で先にレンタルレイアウトを遊んでみましょう。
今回は、田園風景と下町沿いを走っていく3番線をレンタルしてみました。在来線の15両編成に対応し、店内でも人気路線とのことです。151系特急「こだま」をはじめ、国鉄要素のある車両をいろいろ持ってきました。ただし、貨車は筆者好みで集めたので実車通りの編成ではありません。
この路線で使用するコントローラーはなんと、希少なTOMIXツーハンドルコントローラー「N-S2-CL」! 左手マスコン・右手ブレーキハンドルだけでなく、速度計・圧力計・電流計に知らせ灯も搭載。常点灯や走行音、加減速度調整も備わっており、鉄道模型を一層リアルに楽しめます! これも「N広場」から引き継いだもので、もうメーカーでは生産されていないので大切に扱いましょう。
今回は複線の内側なので、反時計回りに周回していきます。拠点駅を発車すると急カーブを曲がりながらすぐにトンネルに入ります。外周の4番線はトンネルに入らずに3番線から離れるので、隣り合う路線でも変化がついています。
トンネルを抜けた列車は田園風景へ。S字カーブで編成をくねらせる列車が魅力的です。
このあたりには水の張られた水田も広がっています。透明プラ板で水面が表現されているので、水鏡を楽しめます。実車の鉄道写真でも水鏡は魅力的な要素の一つですが、鉄道模型でも列車や情景の反射にグッときました。
線路周りの情景も高密度で作られており、踏切の向こうには小さな商店街が広がっています。さまざまな素材を使ってバリエーション豊かな植物表現も見事で、視点を下げると想像以上に情景に引き込まれます。
さて、水田前の踏切を越えると4番線が途中駅を挟んで3番線に合流してきますが、3番線には駅がなく、横を通過していきます。複線なのに隣の線路と離れている部分は単線っぽくも見えるので、単線が多めのローカル列車も似合うのではないでしょうか。
ここで3・4番線がいつもの複線に戻りました。他の路線と交差しながら、列車は下町風景へ。ジオコレを活用した、小さくも懐かしい雰囲気の商店街が線路沿いに続きます。このエリアは私鉄の車両も似合いそうです。
商店街が終わるとすぐに橋梁に差し掛かります。その下に町が形成されており、線路付近から見下ろしても、下から見上げても風情を感じられます。橋の形こそ違いますが、実物の中央本線が鳥沢~猿橋間で渡る桂川橋梁に似た印象を感じました。
最後は桜並木が続くゆるいカーブを曲がってヤードが分岐し、拠点駅に到着! これで路線を1周しました。とにかくいろんな情景が詰め込まれていたので、どんな車両を持ってきても似合う場所があると思います。その上でそれぞれの作り込みも細かく、時間の許す限りじっくり観察したい、満足度の高いレイアウトでした。
ちなみに、4線あるヤードを使う時は、架線柱の「入」表示を見ると分かりやすいです。通電している線路上の「入」が点灯します。一部、バラストのごくわずかな盛り上がりや、ポイント転換部分で引っかかってしまう可能性はあるため、その場合は手で軽く押してあげましょう。
筆者は、「TOKYO N-Train」ができる前の「八王子N広場」の名前も知っていましたが、閉店までに来ることができずに後悔していました。今回でようやく、自前のNゲージとともに高尾まで来ることができて本当に良かったです。
「八王子を活性化したい」の思いでレンタルレイアウト継承
ここからはこのお店やレンタル路線について、「TOKYO N-Train」代表の古林佳樹(ふるばやし・よしき)さんにうかがっていきます。もともとはウェブ系の仕事をしており、「TOKYO N-Train」立ち上げ以降はウェブ関係とレンタルレイアウトを兼業しています。
「TOKYO N-Train」の開業は2025年4月。前身の「八王子N広場」は高尾駅北口で2006年から営業を続けてきましたが、惜しまれつつ2023年末に閉店。古林さんが聞いたところでは、オーナーのご家族が事情により引き継ぎできず、レイアウト等を処分する話が出ていたそうです。
「その前から『地域に貢献するような事業(鉄道・航空・船のいずれか)って何かできないかな』と考えていたところでちょうどそのお話を聴きました。もったいないと思ってN広場さんに相談したら『それならぜひ!』と言っていただいたので、設備をほぼ引き継がせていただきました」(古林さん)
古林さんら立ち上げメンバーは全員八王子市周辺に活動し、最初に集まったのが2022年。以降、「八王子を活性化させたい」というアプローチで活動を考え、偶然タイミングが合ったのがレンタルレイアウトだったのです。クラウドファンディングは、1,340,000円を目標として2024年7~8月に募集を行い、155人の支援で1,598,020円が集まり、目標達成しました。
そんな古林さん自身は、「N広場」及び「N-Train」をきっかけにNゲージの世界に触れ始めたとのこと。他のレンタルレイアウトを見に行って勉強を重ね、今では写真の角度にこだわるくらい模型好きになったそう。お店のユーザーからもコツを教えてもらいながら、レイアウトの運営・整備に努めています。
お店のユーザー層も非常に広く、キッズレーンもあるので、土日を中心に家族連れや年配の方までいろんな人が遊びに来ています。もちろん、かつての「N広場」時代から毎月のように通っている人も多いとのこと。当時からの人も含め、本当に多くのファンに愛されています。

